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東京地方裁判所 昭和54年(ワ)1200号 判決 1981年8月25日

原告

マーケット・マネジメント株式会社

右代表者

ノブオ・ヌマタ

右訴訟代理人

池内精一

被告

緒方健一

被告

清水英男

右被告両名訴訟代理人

湯浅寛

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求める裁判

一  原告

1  次の判決

(一) 被告らは、原告に対し、各自一一八万六〇〇〇円及びこれに対する昭和五四年三月二日から支払いずみに至るまで年六分の割合による金員を支払え。

(二) 訴訟費用は被告らの負担とする。

2  仮執行の宣言

二  被告ら

次の判決

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求の原因

1  原告は、もと商号を株式会社日本インペックスと称し、洗剤及び栄養補助食品の卸販売を業とする会社であり、被告緒方はその小売販売を業とする者である。

2  原告と被告緒方とは、昭和五二年九月一日、原告が被告緒方に対し洗剤及び栄養補助食品を継続的に販売する契約を締結し、同日、被告清水は、右契約に基づく被告緒方の原告に対する将来の買掛金債務につき連帯保証をした。

3  原告は、前項の契約に基づき、昭和五二年九月一日から昭和五三年四月二七日までの間、被告緒方に対し、シャンプー等の洗剤、ウィートジャームオイル等の栄養補助食品を継続的に販売し、右契約が解約された当時、一一八万六〇〇〇円の売掛残代金がある。

4  よつて、原告は、被告らに対し、各自一一八万六〇〇〇円及びこれに対する訴状送達の日ののちである昭和五四年三月二日から支払いずみまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  被告らの答弁

請求原因第1項ないし第3項の事実は認める。

三  被告らの抗弁

1  原告は、その商品の販売方法としてファミリーという組織を用いていた。ファミリーとは、個人の販売者で原告より商品を仕入れこれを消費者に一定利益を加算して小売販売をするものであるが、ファミリーが他のファミリーになろうとする者を会社に推薦し、会社がこの新しいファミリーと販売契約を締結することによつて販売組織を拡張していく販売方法をとつていたのである。そして、ファミリーは、自己、自己が会社に推薦してファミリーとなつた者及びそのファミリーが更に推薦してファミリーとなつた者(いわば孫に相当する。)までの商品の売上高に応じて、原告からボーナスと称する金銭の支払を受けることとなつていた。被告緒方は、原告とファミリー契約を締結していたものである。

2  原告は、昭和五二年ころから販売代理店制度を設置し、ファミリーに販売代理店となることを勧誘した。この販売代理店とは、原告商品を展示、販売するためのものであるが、店舗の設置・設備等は一切販売代理店側が負担し、また、各ファミリーが原告より商品を買入れる際の商品の保管・出庫等の事務をも併せて行うもので、これに対しては、原告より販売代理店に対して出庫量に応じて一定率の出庫手数料が支払われる約定であつた。被告緒方は、昭和五二年九月中、原告と販売代理店契約を締結した。

3  被告緒方は、右ファミリー契約及び販売代理店契約に基づいて、原告に対し、左の債権を有する。

(一) 昭和五三年三月分ボーナス

最低一〇〇万円を下ることはない。

(二) 同年三月分出庫手数料

一四万三〇〇〇円

(三) 同年四月分出庫手数料

四万三〇〇〇円

合計 一一八万六〇〇〇円

4  被告緒方は、原告に対し、昭和五四年四月二七日、右3の債権をもつて、原告主張の売掛債権と対当額で相殺する旨の意思表示をした。

三  抗弁に対する認否

1  抗弁1の事実は認める。

2  同2の事実は認める。

3  同3の事実は否認する。仮にボーナスの請求権があるとしてもその金額は二五万四二八一円である。

4  同4の事実中被告ら主張の相殺の意思表示のあつたことは認めるが、意思表示の到達年月日は争う。

四  再抗弁

1  ファミリー契約の解除

(一) 原告は、かつて、ファミリー組織による洗剤、栄養食品等の連鎖販売業者(「訪問販売等に関する法律」第一一条参照。いわゆるマルチ商法による商品販売業者)であり、被告緒方はこれに連なる連鎖販売業者であつた。

(二) 連鎖販売取引(以下「マルチ商法」という。)に関しては、昭和五一年六月四日に前記法律が公布され同年一二月三日これが施行され種々の規制を受けることになつたが、昭和五二年六月ころには、マスコミ等を通じて「マルチ商法」の名のもとにその弊害面が指摘され、かつ、原告会社もそのマルチ商法業者であることが公表された。

(三) 前記法律によつてもマルチ商法そのものが禁止されたわけではないが、右のような経緯から監督官庁である通産省が行政指導に乗り出し、原告会社もマルチ商法そのものをやめるよう強い勧告を受けた。そこで、原告会社自身としても会社のイメージダウンになるかかる商法を廃止し、昭和五三年三月末までには一般商法に切り換える方針を固め、その準備に着手することとなつた。

(四) ところが、これに対して、マルチ商法のうまみを享受していた被告緒方を含む社外ファミリーから、マルチ商法を廃止することに強硬な反対意見があり、原告会社内部のマルチ商法支持派が中心となつて別会社を設立し、原告会社の販売する商品と同種同類(ほぼ同一といつてよい。)の洗剤等を販売し、被告緒方らがこれを連鎖販売するようになつた。

(五) したがつて、もし被告緒方が引き続き原告会社の商品を扱えば、第三者の目からは原告会社の商品も相変らずマルチ商法によつて販売されているとみられ、原告会社の信用に著しい影響をもたらすことは必至であるから、原告はその指示に従わない被告緒方に対し、昭和五四年四月ころ、ファミリー契約を解除する旨の意思表示をした(仮に右年月ころ解除の意思表示をしたことが認められないとすれば、原告は、昭和五五年二月二五日の口頭弁論期日において、被告緒方に対し解除の意思表示をした。)。

(六) 本件ファミリー契約によれば、契約が被告緒方の責に帰すべき事由により終了した場合には未払分のボーナスは支払わない旨の特約が存在する。本件ファミリー契約は、前記のように、被告緒方の責に帰すべき事由により終了したものであるから、原告は被告緒方に対し、ボーナスを支払う義務はない。

また、仮に原告の被告緒方に対する解除の意思表示が被告緒方の原告に対する解除の意思表示後にされたものであるとしても、被告緒方の解除の意思表示は被告緒方の都合によりされたものであるから、被告緒方の責に帰すべき事由により契約が解除されたものとして未払のボーナス請求権は失われるものというべきである。

2  販売代理店契約の解除

(一) 原告と被告緒方との間の販売代理店契約によれば、被告緒方は、同人の営業店舗内において原告の販売する商品と競合する同種の他社商品の販売をしてはならないこととなつており、これに違反したときは、原告は販売代理店契約を解除することができるとともに、解除権行使のいかんにかかわらず、ファミリー契約に基づく未払のボーナス、出庫手数料を支払わない旨の約定が存在する。

(二) 被告緒方は、昭和五三年四月はじめころから原告の販売する商品と競合する同種他社製品を扱うようになり、契約条項に違反した。

(三) したがつて、原告は被告緒方に対し、ファミリー契約に基づくボーナス及び販売代理店契約に基づく出庫手数料を支払う義務はない。

五  再抗弁に対する認否及び被告らの主張

1  再抗弁1の(一)ないし(三)の事実は不知。(四)の事実は否認する。(五)、(六)は争う。

2  同2の(一)は認めるが、(二)、(三)は争う。

3(一)  原告は被告緒方とのファミリー契約を同被告の同意なしに一方的に変更しようとしたものであり、それは原告の債務不履行であつて、被告緒方が右指示に従わないからといつてそれを理由にファミリー契約を解除しボーナスを支払わないことは許されない。

(二)  被告緒方は、原告との契約を解除したのちに他社の商品を扱うようになつたものであつて、原告との販売代理店契約に違背していない。

(三)  仮に原告の被告に対する契約解除の意思表示が有効であるとしても、被告緒方のボーナス請求権はそれ以前に発生したものであるから、被告らが相殺を主張しているボーナス請求権にはなんら影響を与えない。

第三  証拠<省略>

理由

一請求原因事実について

請求原因第1項ないし第3項の事実は当事者間に争がない。

二抗弁事実について

1  抗弁第1、2項の事実は当事者間に争いがない。

2  <証拠>によれば、被告緒方は、昭和五二年九月から昭和五三年二月まで一か月九八万円ないし一〇六万円のボーナスの支給を原告から受けていたことが認められる(ただし、昭和五四年は約七九万円であるが、これは正月休みがあり売上げが少なかつた特殊事情によるものと推測される。)右事実に<証拠>をあわせ考えると、昭和五四年三月分として被告緒方が原告より支給を受けるべきボーナスは一〇〇万円を下らないものであつたと推認するのが相当である(後記認定のようにボーナスには三種類ありその計算は複雑であつて、<証拠>によれば、その金額は、原告会社のコンピューターによつて計算してファミリーに通知される仕組みであり、ファミリー本人においてこれを計算することは極めて困難であるところ、<証拠>によると同年三月分のボーナスの金額は同被告に通知されず、更に<証拠>によれば同年四月以降新販売制度に切り換つた際に従前のコンピューターの記録は廃棄されてしまつたことが認められるから、原告からの特段の反証がない限り、右のように推認するのが相当である。)。

3  また、<証拠>によでば、被告緒方は、昭和五二年九月から昭和五三年二月までの間一か月一六万ないし二六万の出庫手数料を、原告より支給されていたことが認められる。右事実に<証拠>をあわせ考えると、被告緒方は、昭和五三年三月分の出庫手数料としては一四万三〇〇〇円、同年四月分の出庫手数料としては四万三〇〇〇円の支給を受けることができたものと認めるのが相当である。

4  被告緒方が原告に対し、右ボーナス及び出庫手数料債権合計一一八万六〇〇〇円をもつて原告の商品売掛債権と対当額で相殺する旨の意思表示をしたことは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、右意思表示は、昭和五三年四月二七日発送の内容証明郵便でされていることが認められるから、遅くとも同月末日までには原告に到達したものと認められる。

三再抗弁事実について

1  原告は、被告緒方の責に帰すべき事由によりファミリー契約が終了したものであるから原告の被告緒方に対するボーナス支払義務は消滅した、と主張する。

(一)  <証拠>によれば、原告と被告緒方とのファミリー契約(インペックス・ディストリビューター契約)においては、被告緒方が原告の指示に違反した場合には原告は直ちに契約を終了させることができること及び被告緒方の責に帰すべき事由により契約が終了した場合には未払分のボーナスは支払われない旨の定めのあつたことが認められる。

(二)  当事者間に争のない抗弁1、2の事実に<証拠>を総合すると次の事実を認めることができる。

(1) 原告会社は、その商品販売方法として、全国各地にファミリーと称する販売員を設け、これと直接に継続的な販売契約を締結して商品を卸売し、これに一定の利益を加算して小売させていたが、他方、ファミリーに会社に対しファミリーになろうとする者を推薦させ、会社が更にこの者とファミリー契約(直接販売契約)を締結して行くことによつて販売組織を拡張して行く一種の連鎖販売方法をとつていた。そして、ファミリーには、その売上高に応じて一定割合のキャッシュボーナスと称する販売割戻金が原告会社から支給されることになつており、更に、ファミリーは、他の者を推薦してその者が会社と契約して新たなファミリーとなつた場合、また、更に、推薦されてファミリーになつた者の推薦によつてファミリーができた場合には、これらの者を自己のグループとすることができ、そのグループの売上高が一定額以上となると最初のファミリーはファミリーマネジャーとなり、ファミリーマネジャーには、キャッシュボーナスのほか自己のグループの売上高に応じて一定割合のオーバーライドボーナスが支給され、更に、自己のグループ内のファミリーが一定額以上の売上高をあげて独立したファミリーマネジャーとなつたときにはスペシャルボーナスが支給される仕組みとなつており、この特別のボーナスを期待して、ファミリーは、自己のグループのファミリーを増加させることに努力し、ファミリーマネジャーのなかにはその収入の大部分をスペシャルボーナスで占める者も少なくなく、被告緒方もその一人であつた。

(2) ところが昭和五一年六月「訪問販売等に関する法律」が公布され、連鎖販売業者が種々の規制を受けることとなつたが(連鎖販売方法そのものが禁止されたわけではない。)、昭和五二年六月ころ、新聞等を通じて「マルチ商法」の名のもとにその販売の弊害面が指摘され原告会社もマルチ商法業者として公表された。そして監督官庁である通産省も行政指導に乗り出し、原告会社もマルチ商法をやめるよう勧告を受けた。

(3) そこで、原告会社は、昭和五二年九月ころから、昭和五三年四月から連鎖取引をやめるよう販売組織を変更する方針を打ち出し、あらたに商品の展示・販売とともに商品の保管・出庫の業務を取り扱う販売代理店の制度を設け、ファミリーマネジャーを勧誘してこれを兼ねさせ、昭和五三年四月にはファミリーをすべてファミリーマネジャーの直属とし(孫ファミリーを作らせない。)最終的に、同年九月にはファミリーを販売代理店の直属として、ファミリーの個人販売高と販売代理店の出庫量を重視したボーナス、手数料の率を定め、スペシャルボーナスを廃止する新制度をとることとした。この新制度によると、従来スペシャルボーナスを主たる収入としていたファミリーマネジャーはかなりの打撃を受けることになるものであつた。しかし、昭和五三年三月末までは従来のボーナス制度が維持されることとなつていたので、原告の勧誘により、多くのファミリーマネジャーは、とりあえず原告と販売代理店契約を締結したが、新制度への完全な移行に対しては、反対が強く、被告緒方もその一人であつた。しかし、原告会社としては、通産省の行政指導や世論の批判もあつて従来の組織を維持して経営を続けることは困難であると判断し、被告緒方を含むファミリーマネジャーに対し、昭和五三年三月ころにはしばしば、同年四月より新制度に移行することを申し入れ、これに同意しなければやめてもらう(契約を解約する)ほかはないとの態度を示すに至つた。そこで、新制度によつては収入の大半を失うに至ると考えた被告緒方は、やむなく昭和五四年四月二七日付の内容証明郵便でファミリー契約を解除する旨原告に通告し、同月末原告は被告緒方の店舗より原告の商品を全部回収した。

判旨(三) 右事実によると、原告会社の販売組織の変更は、通産省の行政指導及び世論の批判に配慮したものであり、その意味ではやむを得ない一面があつたことは否定することができない。しかし、いわゆるマルチ商法そのものが法律上禁止されたわけではなくまた原告会社の前記販売組織が公序良俗に反するとまではいえないから、原告会社としては、従来の販売方法を継続しようとすればできないことはなかつたものと考えられ(弁論の全趣旨によると依然としてマルチ商法による会社もあつたことがうかがわれる。)、原告会社が販売組織の変更に踏み切つたのは、通産省の行政指導の世論の批判があるため従来の販売方法を維持したため、すなわち、会社の業務政策の都合上販売組織の変更を行おうとしたものにほかならないと認めるのが相当である。ところで、<証拠>によれば、原告と被告緒方間のファミリー契約においては原告の定める計算方法によつてボーナスを支給する旨が定められており、前記認定にかかる三種のボーナスの支給は右ファミリー契約の内容になつていたものというべきである。そして、原告の新制度の販売組織はスペシャルボーナスの廃止を伴うものであるから、必然的に右契約内容の変更をきたすものであり、したがつて、被告緒方の同意なしに原告が一方的にこれを変更する指示を行うことは許されないものといわなければならない。したがつて、被告緒方が原告の新制度への変更の申入れに同意せずこれに従わないことをもつて原告の指示に対する違反であるとして原告より被告緒方との右契約を解除し、これを被告緒方の責に帰すべき事由により契約が終了したものとすることはできないというべきである。この場合、原告として営業の都合上被告緒方の同意を得られないにもかかわらず新制度へ移行せざるを得ないとすれば、被告緒方に対し契約の解約を申し入れ(<証拠>によればファミリー契約は七日間の予告を置いて双方からいつでも解除することができるものと認められる。)るべきであつたと考えられる(この場合には、被告緒方の責に帰すべき契約の終了とはいえないから、被告緒方が未払のボーナス請求権を失わないことは当然である。)。原告が昭和五三年三月ころより被告緒方に対し新制度を受け入れるかやめてもらうほかはないとの態度を示したのは、結局、右のような会社の業務上の都合による解約の予告を被告緒方に対し行つたものと解するのが相当であり、これに対し被告緒方が解除の通告を行つたのは、原告会社の右のような意向を受け入れて契約の解約を申し入れたものというべきであつて、原告が被告緒方の店舗にあつた商品を回収したのは策告緒方の右解約の申し入れを承諾したものと解するのが相当である。そして、右のような事情の下における契約の終了については、たとえ被告緒方より申し入れたものであつても、これをもつて被告緒方の責に帰すべき事由によるものということは相当でないから、右理由による契約の終了によつては被告緒方は、前記ボーナス請求権を失うものではないというべきである。

(四)  他に原告と被告緒方のファミリー契約の終了について被告緒方の責に帰すべき事由に基づくものと認めるに足る証拠はない。

2  次に、原告は、被告はその店舗で他社の商品を販売し販売代理店契約に違反したから、ボーナス及び出庫手数料請求権を喪失した、と主張する。

(一)  原告と被告緒方との間に締結された販売代理店契約においては、被告緒方は同人の営業する店舗内において原告の販売する商品と競合する同種の他社商品を販売してはならないこと及びこれに違反した場合には原告は販売代理店契約を解除することができるとともに解除権の行使の有無にかかわらず原告から被告緒方に支払うべき未払いのボーナス、出庫手数料の支払はされない旨の定めがあつたことは、当事者間に争がない。

(二)  しかし、被告緒方が原告との販売代理店契約の存続中に原告の商品と競合する同種の他社の商品を販売したとの事実を認めるに足りる証拠はない。

かえつて、前記認定にかかるファミリー契約解除の経緯並びに<証拠>を総合すると、被告緒方は、昭和五三年四月二七日付の内容証明郵便による解除の通告によつて原告との関係を一切打ち切ろうとしたものであつて、(そのため、右書面により原告に支払うべき商品代金の一部につき相殺の意思表示をするとともに、残金の送金をして一切の精算をしようとした。)右解除の通告書にはファミリー契約の解除としか明示されていないが、右通告中には販売代理店契約の解約の申し入れをも当然含んでいたものと解するのが相当であり、前記認定のようにこれを受けて同月末日原告が被告緒方の店舗内の商品を回収したことは、右販売代理店契約の解約の申し入れをも承諾したと解するのが相当であり、原告と被告緒方との販売代理店契約は同月末日をもつて終了したものというべきところ、<証拠>によると同被告が他社の商品を取り扱うようになつたのは、同年五月以降であつたことがうかがわれる。

(三)  そうするとこの点に関する原告の再抗弁も理由がない。

四結論

そうすると、被告らの抗弁は理由があり、原告の請求は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(越山安久)

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